第三回 「マルチスケール輸送現象の解析」研究専門委員会 議事録

日時:平成15年3月14日(金) 13:30〜16:30
場所:東京大学工学部12号館システム量子工学専攻2F会議室
出席:13名
大橋主査(東京大学)、陳 幹事(東京大学)、河野幹事(富士総合研究所)、高田幹事(産業技術総合研究所)、渡辺幹事(日本原子力研究所)、田中委員(茨城大)、茶木委員(日立製作所)、横堀委員(東芝)、村瀬委員(原子力安全システム研)、植田(梅木委員)代理(原子力発電環境整備機構)、大島委員(核燃料サイクル開発機構)、川原委員(CRCソリューションズ)、伊藤オブザーバー(富士総合研究所)

配布資料
(1)第二回「マルチスケール輸送現象の解析」研究専門委員会 議事録(案)
(2)講演資料:「地層処分におけるマルチスケールモデリング」
(3)講演資料:「狭い間隔での強制流動沸騰場で見られる二相流現象」

(4)討論まとめ資料

議事:

1.前回議事録確認
配布資料(1)に基づき、前回会合議事録()について渡辺幹事より説明がなされ、修正無く採択された。また、渡辺幹事より本議事録は原子力学会・熱流動部会に送る旨説明がなされ確認された。

2.講演「地層処分におけるマルチスケールモデリング」(原子力発電環境整備機構 植田氏)
高レベル放射性廃棄物の地層処分の概要に関する説明がなされ、人工バリア緩衝材及び天然バリア母岩におけるマルチスケールモデリングについて解説がなされた。人工バリア緩衝材中のマルチスケールモデリングとして、分子・原子挙動の評価、構成材料の物性評価が可能な分子動力学法(MD)と、粘土や岩盤などの非均質材料のミクロ・マクロの挙動を評価可能な均質化法(HD)のカップリング手法の解説がなされ、ベントナイトの長期力学的挙動解析としてオーバーパック沈下解析の結果が紹介された。天然バリア母岩中のマルチスケールモデリングとしては、岩石割れ目のネットワークと割れ目開口部に着目した三次元亀裂ネットワークモデルと、これを利用した核種移行率のシミュレーション結果が紹介された。質疑応答は超長期の材料物性の変化、ベントナイトの幾何的モデリング、MDHDの役割、アップスケールと不確実性の問題に関して行われた。

3.講演「狭い間隔での強制流動沸騰場で見られる二相流現象」(株式会社東芝 横堀委員)
BWR
における燃料棒周辺の沸騰現象の概略が説明され、沸騰遷移現象についての、特にドライアウトやスペーサ付近の沸騰現象に関する現状での問題点について説明がなされた。また、これに関連して、通常運転時の燃料集合体周辺の狭隘流路における沸騰遷移現象の模擬実験結果および解析結果に関する紹介が行われた。つづいて、シビアアクシデント時における圧力容器内溶融物冷却特性に関する研究として、傾斜狭隘流路内沸騰による流動特性について、IVRIn Vessel Retention)、ギャップ冷却に関する模擬実験結果及びシミュレーション結果に対して紹介がされ、ベッセルとデブリの熱的関係、ベッセル構造の局部性(不均一性)、実験から実機へのアップスケールの問題などについて質疑応答が行われた。

4.マルチスケールシミュレーションに関する討論
資料(4)「討論まとめ資料」に基づき、マルチスケール輸送現象について討論が行われ、スケールの変化を変えると考慮すべき現象が変化するといったマルチフィジックスな視点から、現状の整理をすることにより課題が抽出されるのではないかという意見がだされた。また、様々な分野横断的に考慮すべき事象をみるべきではないかという意見がだされた。今後の、まとめ方の項目について幹事で検討し次回以降の委員会で議論していくとの結論を得た。