炉心・燃料・機器の合理的な熱流動評価・開発手法調査専門委員会
炉心・機器熱流動評価分科会
第1回委員会議事録

日 時:平成17年10月17日,午後1時30分〜午後4時30分
場 所:東電本店本館新別館302B会議室
出席者:片岡勲(阪大・主査),森治嗣(東電・幹事),秋本肇(JAEA),荒木和博(NUPEC),笠原文雄(JNES),飛田吉春(JAEA),奈良林直(北大),坂場弘(三菱重工),松浦敬三(原燃工),湊明彦(日立),綿田雅之(関電),村瀬道雄(日立・INSS),藪下幸久(CSAJ),米田公俊(電中研),堀田亮年(テプシス),阿萬剛史(テプシス・オブザーバー),大川富雄(阪大・幹事・記録者) 以上17名

1.主意説明(片岡主査)
 第1回会議の開催にあたり,片岡主査より,配布資料「炉心・機器熱流動評価分科会進め方について」に沿って以下の項目について説明がなされた.
・本委員会の設置経緯について
・研究の進め方について
・一般的で普遍的な気液二相流の熱流動解析手法の開発に向けて
・調査すべき内容と項目

2.「多次元二相流構成式の評価調査専門委員会」報告書執筆状況(大川委員)
 標記報告書の原稿提出状況について説明がなされた.なるべく早い時期の発行に向け,必要となる作業を進めることとした.

3.合理的炉心・機器熱流動評価(奈良林委員)
 原子炉設計および許認可の方法論として,20世紀に行われてきた実規模実証試験から解析シミュレーションにより重きをおく可能性について論じられた.数値解析技術の可能性を示す例として,「低圧損気水分離器」,「多段スチームインジェクタ」,「マルチノズルジェットポンプ」の性能を数値解析により評価した結果が示された.これらは数値解析技術の高い可能性を示すものである.ただし,実規模試験を必要とする場合も十分に考えられることから,実規模試験を実施可能な設備を国内に充実させる必要性が強調された.本講演に関連し,以下の討論が行われた.
・JAEAは現在実証試験の可能なループを保有しており,これを有効に利用するための方策を検討中である.本委員会でも,有効利用方策の検討および検討結果の発信をできる可能性がある.
・特に許認可の場では,実証試験の重きをおく傾向が強く,数値解析は高い信頼性を得るに至っていない.これは,構成式の比重が大きい二相流だけでなく,単相流の場合にも同様である.本委員会で解析に使用されるモデルおよび構成式の標準化を行えば,解析結果の信頼性向上に寄与できるもと思われる.高レイノルズ数域における単相乱流モデルの信頼性確認などは,数値解析の信頼性向上につながる作業の一例と考えられる.
・信頼性向上のためには,解析結果の誤差をより明確に示すべきと考えられる.

4.委員会の方向性に関する検討(村瀬委員)
 軽水炉の動向,機器開発のニーズ,開発環境の変化,数値解析関する民間のニーズ,民間のニーズが高い情報,委員会・分科会への期待,委員会・分科会の実施方法案が示された.本分科会への期待として,(1)相関式・構成式の収集と測定値との比較評価,(2)現状での推奨式の選定,(3)推奨式の標準化(部会,学会等で)を行ってはどうかとの提案があった.本分科会の活動期間中に標準化までもっていけるか明確でないが,そのための作業としてまず相関式の収集と絞込みが必要との意見が述べられた.本講演に関連し,以下の討論がなされた.
・標準化の意義:学会標準を定めること,あるいはコンセンサスを得ることができれば,熱流動数値解析の毎に繰返されるモデル選定に関する議論を大幅に縮小できるハンドブック等における記述は相関式リストの意味合いが大きく,推奨式を明確化することは意義が大きいと考えられる.
・原研でTRACのBWR版とPWR版を比較した経験からは,同じ二相流コードでも使用されている構成式は異なっており,どちらを推奨すべきか決定するのは容易ではないと予想される.相関式の適用範囲の明確化,想定する解析条件の明確化が必要である.
・相関式標準化の方策の一つとして,標準的問題の設定が考えられる.熱流動部会の委員会で同様の問題を扱ったことがあり,このときの報告を活用できる可能性がある.
・完全な構成式が存在しない条件では,ボイド率その他の個別事象を記述する構成式とシステム解析における構成式セットの異なる立場がある.推奨式選定にあったての立場を明確にする必要がある.要素となる素仮定をよく説明する構成式の収集整理,各解析モデルが必要とする構成式の整理,ベンチマーク問題の選定などを効率的に実施す必要が生じる可能性がある.

5.その他
 次回会合は12月を目処に開催する.