炉心・燃料・機器の合理的な熱流動評価・開発手法調査専門委員会
炉心・機器熱流動評価分科会
第6回委員会議事録
日 時:平成19年10月10日,午後1時30分〜午後4時30分
場 所:日本原子力学会会議室
出席者:片岡勲(阪大・主査)、森治嗣(東電)、藪下幸久(CSAJ)、山本泰(東芝)、湊明彦(アドバンスソフト)、工藤義朗(GNFJ)、増原康博(JNES)、堀田亮年(TEPSYS)、阿萬剛史(TEPSYS)、上原靖(NUPEC)、池野勉(NFI)、吉田啓之(JAEA)、渡辺史紀(東電)、大川富雄(阪大・記録) 以上14名
1.「LESを用いた燃料集合体内旋回流れの機構解析」
池野勉氏(原子燃料工業)
LESを用いた乱流解析の一般的な特徴、基礎式・SGSエネルギー輸送方程式等の支配方程式、境界埋め込み法等数値手法の詳細について紹介した後、本解析手法を用いたPWR燃料支持格子設計の高度化可能性について述べた。LESでは、非定常特性も含めて流路内に形成される乱流状態を詳細に評価できる。この特性を活かして、混合羽根による旋回流の形成と減衰の機構、旋回力を持続するのに有利な混合羽根の構造等について研究成果が紹介された。特に、混合羽根の配列と傾斜角度は、支持格子下流に形成される流れ場のパターンおよび減衰特性に重大な影響を及ぼす。本講演に関連し、解析精度や計算負荷の観点から見たRANS解析とのトレードオフ、燃料支持格子の性能を特徴付ける上で適当と考えられる評価指標、燃料支持格子の性能を評価する上で計算上格子形状をどの程度まで正確に再現すべきか等の観点で意見交換した。
2.「機構論的原子炉熱設計手法開発の現状」
吉田啓之委員(JAEA)
原子炉の熱設計を行う上で、特に機器の大型化に伴い実規模試験の実施が困難となっており、数値シミュレーションを主体とした設計手法の確立が求められている。この状況の下、JAEAで開発中の熱流動解析コードであるTPFITとACE-3Dについて紹介がなされた。TPFITは、気液界面追跡型の詳細二相流解析コードであり、体積保存性に優れる。自由流下液膜の液膜厚さ分布、並列流路間におけるクロスフローの解析結果と実験とのよい一致が示された。クロスフロー解析については、BWR炉心に適用した場合のギャップ幅の影響や流体混合機構の詳細に関する考察結果が述べられた。ACE-3Dは二流体モデル基づく三次元コードであり、炉内ボイド率分布の解析結果と中性子ラジオグラフィによる計測結果との良好な一致が示された。本講演に関連し、クロスフロー発生のメカニズム、界面追跡型数値解析による流動様式遷移の予測可能性、入口境界条件や計算格子サイズの妥当性等について議論を行った。
3.「周波数領域コードによる核熱水力安定性評価について」
阿萬剛史氏(TEPSYS)
原子炉の安全性評価をより確実に行うため、TEPSYSで開発を実施中の安定性解析コードのモデルの詳細と検証状況について、過渡・事故事象解析コード開発・検証のあり方に関する手法(EMDAP)の流れに従って説明があった。本コードは既存コードと比較して最適評価を志向することに特徴があり、BWRの各熱水力安定性を周波数領域で解析する。コード構築の方法説明の後、炉心安定性減幅比および炉心安定性共振周波数の評価結果とバイアスと不確かさに関する評価結果が示された。本講演に関連し、ボイド率変化に対する核反応度の感度、原子炉安定性解析に関する国内および国外における研究開発の状況、PIRTにリストアップされている項目の妥当性、時間領域コードと対比した場合の周波数領域コードの特徴、安全側の評価や評価誤差の取り扱いなどの計算結果評価の方法等について、意見交換を行った。
4.その他
片岡主査より、報告書の作成および春の年会における部会セッションでの報告の予定が説明された。
以上