炉心・燃料・機器の合理的な熱流動評価・開発手法調査専門委員会
炉心・機器熱流動評価分科会
第7回委員会議事録

日 時:平成19年12月19日,午後1時30分〜午後4時30分分
場 所:日本原子力学会会議室
出席者:片岡勲(阪大・主査)、森治嗣(東電・幹事)、工藤義朗(GNFJ)、湊明彦(アドバンスソフト)、堀田亮年(TEPSYS)、阿萬剛史(TEPSYS)、増原康博(JNES・笠原代理)、柿木俊平(原燃工・松浦代理)、渡邊史紀(東電)、後藤正治(東電)、奈良林直(北大)、藪下幸久(CSAJ)、山本泰(東芝)、新井崇洋(電中研・米田代理)、吉田啓之(JAEA)、西田浩二(日立)、大川富雄(阪大・幹事/記録) 以上17名

1.「将来炉燃料熱水力設計におけるDESIGN-BY-ANALYSISの適用」
山本泰委員(東芝)

大型燃料を採用する場合、フルバンドルの模擬試験により熱的限界を評価するためには膨大な費用と時間が必要となる。このため、小規模試験とサブチャンネル解析を組合せた合理的熱的限界評価手法(PDBA: Practical Design-By-Analysi)の概要が提示された。本手法は、(1)部分バンドル試験、(2)限界出力相関式作成、(3)サブチャンネル解析の実験定数の最適化、(4)サブチャンネル解析による限界出力データの拡充、(5)限界出力相関式の高度化の5つのステップからなる。部分バンドル試験データとして4×4バンドルデータ、サブチャンネル解析コードとしてNASCAを使用して、限界出力相関式の作成と高度化を行ったところ、より大型の8×8バンドルに対する454点のデータを標準偏差3.8%で予測できることが述べられた。本講演に関連し、特に許認可過程における解析結果の取扱い方について意見を交換した。現在は大型実証試験への依存度がきわめて高いが、実証試験実施がますます困難化している事情や近年の解析技術の進展を考えれば、むしろサブチャンネル解析等の解析結果を柱として、試験結果に補助的な役割を担わせるアプローチも考えられる。この場合、確実に実験で把握しなければならないことは何であるかをよく整理しておくことの重要性を確認した。合理的な熱的限界評価手法を具体化し、積極的に発信することの必要性が指摘された。

2.「急拡大流路内における気液二相流の多次元的流動挙動に関する研究」
片岡勲主査(阪大)

気液二相流の数理モデルでは、空間一次元の記述を用いる場合が多い。しかし、現実の二相流派、円管に代表される単純流路でも多次元性を有しており、この傾向は障害物流路やバックステップ流路などの複雑流路ではより顕著となる。このため、典型的な多次元流路として、急拡大流路における気液二相流挙動について計測および数値解析を行った結果が報告された。主な結果は、(1)急拡大部の下流ではかなり長い区間に渡って流動様式が平衡状態と異なり得る、(2)急拡大部下流の断面平均ボイド率をドリフトフラックスモデルで評価する場合、急拡大部の直下流では分布定数がきわめて大きい値となり、その後指数関数的に減少する、(3)急拡大流路における乱流構造は、気泡分布により大きく変化する、(4)急拡大部下流の多次元ボイド率分布は、数値解析的にある程度予測できるが、定量的な一致を得るためには、相関式の更なる高度化が不可欠である。本講演に関連し、せん断がきわめて強い場における気泡の強い変形の存在や揚力評価手法の妥当性について意見を交換した。また、気液二相流数値解析技術の高度化を行う上で、実験データを拡充していくことの必要性および重要性を確認した。

3.その他
片岡主査より、2008年春の年会における企画セッション提案書が提示されるとともに、講演タイトルと講演者が示された。片岡主査より活動の概要をした後、5件の講演で活動の詳細を紹介する。また、報告書の作成要領については、主査、幹事で原案を作成し、委員会にて議論することとした。

以上