第2回「原子力プラントにおける火災や燃焼化学反応を伴う熱流動問題」研究専門委員会

日時 平成13年9月11日()  
   東京工業大学原子炉工学研究所会議室 (出席
20名)

(1)  サイクル機構におけるナトリウム燃焼研究と「もんじゅ」ナトリウム漏洩事故(宮原委員)
 「もんじゅ」ナトリウム漏えい事故の概要とJNCで実施した漏洩事故の原因究明実験および「もんじゅ」再起動に向けたナトリウム漏えい対策等について説明があった。

 原因究明実験の「ナトリウムによる漏えい速度、漏えい形態の確認試験」では、漏えい温度計の模擬試験体を使用することにより、漏えい速度は約50g/sec程度であり、フレキシブルチューブの最下端からの滴下が漏えい形態の主流となることが確認された。「ナトリウム漏えい燃焼実験-I」では、空調ダクト表面でのナトリウムの跳ね返りによる液滴状燃焼が認められ、実験後の受け皿に約1mm程度の減肉が確認された。「ナトリウム漏えい燃焼実験-II」では、ライナ温度は主に800850℃で推移し、5ヵ所の床ライナの開口を確認した。堆積物の分析の結果、「もんじゅ」ではNa2Oが主成分であるのに対し、NaOHNa-Fe複合酸化物が多いことを特徴とする堆積物であった。ナトリウム漏えい対策の一環として、再着火挙動試験を実施し、ナトリウム燃焼を窒素ガスで消火した場合の再着火防止方策の提示を行なった。

(2) 水素燃焼大規模試験と解析荻野委員)
  軽水炉のシビアアクシデント時に大量に発生する水素ガスの燃焼は、格納容器の健全性の観点から重要な現象である。NUPECでは、可燃性ガスの燃焼挙動を把握し、原子炉格納容器の健全性を実証することを目的として、可燃性ガス燃焼挙動試験を実施した。格納容器内多区画体系における水素燃焼挙動を適切に解析し得る水素燃焼モデルを作成し、MELCORコードに組込み、実機形状を模擬した試験結果により検証した。水素燃焼モデルとしては、三次元的流路接続・6つの火災形状・AECLによる乱流燃焼速度に関する相関式からなっている。大規模燃焼試験では、実プラントの多区画体系を模擬し、基礎的燃焼試験・事故模擬試験を実施した。試験では、実機の多区画抑制効果を解明し、水素濃度15vol%でも火炎は十分に加速されず爆轟には至らないことを確認した。また、均一予混合燃焼・不均一濃度分布燃焼挙動・過渡時燃焼挙動のいずれに対しても、水素燃焼モデルは、十分な予測挙動を有することを確認した。

(3) 核燃料サイクル施設のトラブル情報公開と火災事例の紹介 (梶原委員)
  原子力の安全確保に資することを目的として、国内施設の事故防止と安全運転の維持を図るため、国内外の核燃料サイクル施設で発生したトラブルについて情報の収集を行い、Web上に一般公開システムIINET(Incident Information Network System)としてデータベース化した(http://www.n-iinet.ne.jp)。収集情報は、精錬・転換・濃縮・成形加工・再処理・廃棄物管理/処理施設等の核燃料サイクル施設での事例であり、トラブルの種類としては、臨界・火災・爆発・停電・漏洩・汚染・機能喪失・過渡現象などである。収録件数は、20013月末で約1300件である。収集した事故・トラブル情報から、火災、爆発のキーワードで国内外の火災事例を紹介した。今後は、新規情報の収集・追加登録・システム機能の改良・拡張などシステムの充実化を行なっていく予定である。

次回予定 平成13年11月19日(月)

以上