第6回「原子力プラントにおける火災や燃焼化学反応を伴う熱流動問題」研究専門委員会

平成15年1月17日(金) 東京工業大学80年記念会議室 (出席16名)

議事
(1) 金属の着火と燃焼の特徴 (湯浅委員)
 金属燃焼研究の背景は、防災・推進機関・燃焼学各方面からの必要性に基づいたものであるが、特に防災の観点が研究初期には大きな比重を占めていた。金属の着火・燃焼の一般的特徴としては、反応性(活性)が高いため常温自然発火の可能性あること、凝縮の反応生成物が形成されるため不均一燃焼性を有すること、反応熱が大きいことが挙げられる。金属の着火と燃焼の例として、一般燃料との相違点・特殊性の他、着火と反応膜(Laurendwau&Glassmanの提案)の関係が説明されるとともに、表面反応膜が保護的でない場合(Mg/Air, Mg-Al/Air)、反応膜が保護的な場合(Mg/CO2、Al/O2/N2、Al/CO2、B/O2/N2)について、実験例を交えた説明が為された。また空気・酸素に加え二酸化炭素との燃焼反応についても解説が為された。

(2) ナトリウム液滴の着火遅れ時間−酸素濃度、液滴直径、初期速度、相対速度の影響−(牧野委員)
 優れた熱伝導性媒体であるナトリウムは、原子力発電施設において用いられている。しかし、ナトリウムは非常に活性で、高温では空気中で着火することもあり、ナトリウム火災の事故も起きている。本研究では、ナトリウム燃焼の基礎的研究として、落下液滴燃焼という形態にて、ナトリウム液滴の着火遅れ時間に及ぼす各種要因(酸素濃度、初期液滴直径、初期温度、相対速度)の影響を実験的に調べるとともに、解析との比較・検討を行った。主な結論は以下の通りである。
1)酸素濃度、または初期温度が高くなるにつれて着火遅れの時間は短くなる。
2)初期温度723K、酸素濃度20%(質量濃度0.22)においては、初期液滴直径が約1〜1.5mmの時に着火遅れ時間が最も短く、その前後では着火遅れが長くなる。
3)初期温度653K、673K、693K、723K、酸素濃度20%(質量分率0.22)において、相対速度が0m/sに近づくにつれて着火遅れ時間が短くなる。
4)解析との比較により、各データの信頼性や、パラメータ間のつながり、さらには着火限界ついて議論できるようになった。

次回 4月3日(木)

以上