第7回「原子力プラントにおける火災や燃焼化学反応を伴う熱流動問題」研究専門委員会

平成15年4月3日(木) 東京工業大学北1号館1階会議室 (出席20名)

議事
(1) 大規模実験による高エネルギー物質の爆発影響評価(中山委員)
 産総研の爆発安全研究センターで実施中の火薬類保安技術実験の概要について説明があった。平成14年度の主な実験項目は、基準爆薬(TNT)の爆風圧・火薬庫内での爆発による庫外爆風圧・可燃性容器に充填された無煙火薬の爆発による爆風圧・隔壁による圧力の減衰特性・積重ね試験(煙火の安全性評価の国連試験)等である。試験結果として、高速度カメラによる衝撃波の伝播状況・爆風圧(over pressure)と薬量(scaled distance)等について説明があった。

(2) 産総研での原子力関連安全研究 衝撃波の可視化(中山委員)
 衝撃波伝播の解明を行うことを目的として、小規模実験での可視化試験結果をもとに、数値計算により再現した。試験では矩形構造物と円管構造物を使用し、構造物開口端での衝撃波の伝播特性を可視化した。数値計算では、状態方程式と基礎方程式をパラメータとして、試験解析を実施した。その結果、数値解析の結果では、開口端から放出される衝撃波については、基礎方程式よりも状態方程式の影響を受けること、開口端からの衝撃波には指向性があることが確認された。

(3) 産総研での原子力関連安全研究横浜国大 ヤヤット・ルヤット氏
 再処理施設で使用されるTBP/硝酸系の爆発危険性の評価を行うことを目的として、爆発性を試験により把握した。爆発特性として、TBP/FNA(リン酸トリ-n-ブチル/発煙硝酸)のラマン分光分析、衝撃起爆感度、爆轟限界薬厚、爆発威力を試験により調べた。この結果、TBP/FNAが爆轟する混合比、爆轟速度、ウエッジ法による爆発限界の薬厚、水中爆力試験による爆発威力等の結果が示された。

(4) 歪を伴う水素拡散火炎の構造と動的挙動に関する研究−乱流火炎モデルの高精度化に向けて−(吉田委員)
 水素燃料と空気流の対向流場で形成される平面拡散火炎に細いノズルから燃料または空気をそれぞれ燃料側または空気側から定常または非定常的に衝突させ、局所的に歪を付加した場合の火炎を対象として、素反応に基づく反応動力学と多成分拡散を考慮した詳細な数値計算ならびにレーザーレーリー散乱法を用いた二次元温度分布測定を実施した。またあわせて、周期的変動を伴う平面火炎、伸張・圧縮を伴う拡散火炎について数値計算を行い火炎の挙動を示した。これにより歪を伴う拡散火炎における火炎関連事象の理解を深めるとともに,より高精度な火炎片モデルのデータベース構築の指針を示した。

次回 5月8日(木)

以上