第8回「原子力プラントにおける火災や燃焼化学反応を伴う熱流動問題」研究専門委員会
平成15年5月8日(木) 東京工業大学北2号館6階会議室 (出席18名)
議事
(1) 原子力プラント安全評価のための高速水素燃焼研究(田川委員)
OECD/Nuclear Energy Agencyのレポート” Flame Acceleration and
Deflagration to Detonation Transition in Nuclear Safety,
OECD/NEA/CSNI/R(2000)7, August 2000” の紹介。本レポートには、軽水炉の水素燃焼問題に関する最近(1990-1999)の研究成果がまとめられている。代表的な大型試験研究として、ミュンヘン工科大学のMuSCET
Facility、ピサ大学のL. VIEW Facility、BNLのHigh Temperature Combustion Facility, NUPECのLarge-scale
Combustion Test Facility, Kurchatov研究所のRUT Facilityを説明。更に、水素燃焼による格納容器への圧力負荷を評価するための手順、火炎加速の発生限界を与えるσクライテリアとデトネーションの発生限界を与えるL/λクライテリアの策定、Lumped-ParameterコードとComputational
Fluid Dynamicsコードの検証結果を説明した。最後に原子炉格納容器の安全性評価への適用例を説明した。
(2) 高温ガス炉水素製造システムにおける火災爆発に対する安全評価(原研 西原氏)
一次エネルギ供給の観点から水素活用の有効性を整理し、高温ガス炉を用いた水素製造の概要を説明した。また、原子炉施設近傍に水素製造施設を設置することに対する安全要求を整理し、安全設計の基本的な考え方として影響軽減対策である離隔距離確保を提案した。更に、可燃ガス漏洩時の可燃性蒸気雲爆発の評価方法として、瞬時放出と連続放出の二つの漏洩モデルを用いた爆発時の影響評価をPHOENICSとAutoReaGasを組み合わせて評価する方法を策定した。
(3) リスクと損害保険(東京海上 江里口氏)
産業全般の観点からリスクマネジメントの定義、プロセス、重要性を高める要因、資産・負債、損益に関する防護手段を分析し、整理した。また、保険における原子力施設への取組内容・精度について説明すると共に、発電設備、ボイラ、静止電気機械の事故件数・損害額を要因別に統計分析を実施した。最後に保険の観点からの原子力産業への提言として、事故原因に関する統計分析に基づく定量的な安全目標の設定を説明した。
以上