第11回「原子力プラントにおける火災や燃焼化学反応を伴う熱流動問題」研究専門委員会
平成16年1月16日(金) 東京工業大学・北1号館1階会議室 出席者 13名
議事
(1)「高速炉の火災PSA」 サイクル機構 栗坂 健一氏
サイクル機構における高速炉を対象としたPSA研究、およびその一環として過去に実施された火災へのPSA適用検討に関する講演が行なわれた。
はじめに高速炉を対象にしたPSA研究の位置付け、PSAレベル1、2、3の定義、主な実施内容と手順が説明された。放射性物質の核種別/気象・立地条件に応じたリスクを求めることが最終的な目的である。PSAにおける起因事象は、内的起因事象と外的起因事象に分類される。前者はプラント構成機器などの故障によるもので、イベントツリー/フォールトツリーを用いて、機能の従属関係や共通原因故障を判別、評価して行く。後者は、火災、地震、洪水などの共通原因を、空間的な従属関係あるいは故障共通原因として内的起因事象に付加することにより、評価を行う。ナトリウム炉を対象とした火災PSAのスクリーニング解析例として、火災を起因事象とし崩壊熱除去機能喪失に至るシーケンス評価例が紹介された。火災重要区域としては、中央制御室、リレー室、格納容器外部アニュラス、原子炉容器室が抽出され、中央制御室での盤外火災の検討例、アニュラスにおけるケーブル火災/ナトリウム火災の検討例が紹介された。
(2)「高速炉蒸気発生器のナトリウム−水反応研究」 サイクル機構 浜田
広次 氏
ナトリウム炉の蒸気発生器の開発試験、ナトリウム−水反応事象と伝熱管の破損伝播挙動に関する安全評価上の取り扱い方、近年の高温ラプチャ試験の動向に関する講演が行なわれた。
蒸気発生器の開発試験では、1970年代から主にスケールアップを中心に開発を行ってきた。ナトリウム−水に関する安全性研究として、1970〜80年代は注水試験および挙動評価コード開発を行い、90年代からは高温ラプチャ試験を実施している。伝熱管の破損とその伝播挙動は、微小漏えい、小漏えい、中漏えい、大漏えいに分類され、現象としては腐食による漏えい孔自己拡大、損耗による隣接管減肉、隣接管の内圧増加による破裂、水素発生などが生じる。水素発生に対するプラント設計上の対応としては、圧力開放板、反応生成物格納容器、点火器を設置しており、さらに水系放出弁、カバーガス圧力計の増設により水漏えい事故に対する信頼性向上が図れる。高温ラプチャに対しては、近年、反応ジェット挙動やラプチャ挙動自体の知見に加え、反応ジェットによるラプチャ発生挙動に関しても実験的知見が得られている。
(3)「論文集Fire Safety1994,2001の火災事例、実験に関する文献要約」の紹介 河合委員
上記論文集に対し、委員分担により作成中の文献要約の紹介講演が行なわれた。文献は、火災統計データ、油・ケーブル火災実験、米国内発電所での火災経験、同タービン建屋火災での重要案件の分析、などを含んでおり、各々について解説がなされた。
以上