第1回「多次元二相流構成方程式に関する評価」調査専門委員会議事録

 

日時:平成12年9月25日(月)、13:30〜16:30

 

場所:蔵前工業会館802会議室

 

出席者:片岡(阪大)、森(東電)、秋本(原研)、池田(NUPEC)、浦田(関電)、飛田(JNC)、奈良林(東芝)、二ノ方(東工大)、児玉(原燃工)、三島(京大)、湊(日立)、村瀬(INSS)、藪下(CSA Japan)、米田(電中研)、戸井(構造計画研究所)、大川(阪大) 以上16名

 

配布資料

1−1 設立趣意書

1−2 委員名簿

1−3 原子炉過渡解析と気液二相流現象における技術的課題

1−4−1 解析技術の多様化と構成方程式及び検証の課題

1−4−2 二流体モデルによる気液界面計算

1−5 熱流動部会の多次元二相流構成方程式調査専門委員会に望むこと;メーカーの視点から

1−6 多次元二相流構成方程式の調査研究の進め方について

1−7 多次元気液二相流解析コードの現状に関する情報調査結果

1−8−1 Genesysコードの解析対象・機能の概要

1−8−2 DNB発生条件予測手法の開発III

1−9 高速増殖炉の炉心損傷事故解析のための総合解析コード

1−10 「多次元二相流構成方程式に関する評価」調査専門委員会の調査範囲等について

 

1.本調査委員会の設立の趣旨および意義等について

 本調査専門委員会の第一回会合を開催するにあたり、片岡委員長より本委員会の設立意義について説明がなされた。引き続いて委員の紹介を行った後、設立趣意書に基づいて森幹事より本委員会の設立趣旨について説明が行われた。

 

2.多次元二相流解析の現状報告

 多次元二相流解析の現状把握のため、以下に示す4件の報告と関連する議論がなされた。

(1)原子炉過渡解析と気液二相流現象における技術的課題(森幹事)

 BWR過渡解析で対象となる主な事象を整理した後、過渡解析例が示された。これに基づき、高度化が必要な構成式、現状では考慮不十分な物理現象等に関する考察結果が報告された。本報告に引き続き、一次元計算の高度化により対応可能な条件と多次元計算が不可欠となる条件の仕分けの重要性、モデル高度化の成果を原子力発電所の設計・建設の合理化に効率よく反映させるための手法等について議論し、本委員会では二相流動現象を正確に予測する目的において標準的な構成式を示す必要があるとの意見が述べられた。

(2)解析技術の多様化と構成方程式及び検証の課題(湊委員)

 様々な気液二相流解析手法が紹介された後、これらを複合したモデルの有望性が示された。実際の解析経験を基に、モデルの詳細化に起因する構成式の問題と既存の検証用実験データベースの質的な問題点が述べられた。この後、解析技術高度化のためには、解析者と実験者の意思の疎通がきわめて重要であること、また解析手法の合理性を把握するためには、数値解と実験データの定量的比較が不可欠であること等についてについて意見交換した。

(3)熱流動部会委員会に望むこと;メーカーの視点から(奈良林委員)

 原子力を取り巻く現在の情勢を背景として、既存の相関式の整理および多次元二相流解析のためのモデル高度化の必要性が報告された。さらに、Design by Analysisの拡大および原子炉設計の迅速な評価を実現するため、本委員会で得られる成果を電力、メーカー、規制サイドで共有できるよう配慮する必要性について述べられた。

(4)多次元二相流動現象と解析モデル(片岡委員長)

 原子炉における多次元二相流動現象、多次元気液二相流のモデル、基礎方程式、計算コードについてレビューした後、乱流応力及び乱流熱流束評価手法の確立の重要性が強調された。また、二ヵ年にわたる調査研究のスケジュール案が示された。

(5)多次元二相流解析コードの現状調査結果

 本委員会参加委員のこれまでのアクティビティおよび多次元気液二相流解析の現状に関する情報を共有化するため、片岡委員長および飛田委員より、本委員会の委員が実際に開発に携わった多次元二相流解析コードの概要に関する調査結果が紹介された。

 

3.今後の進め方について

 多次元二相流解析の現状報告結果を踏まえ、本調査専門委員会の今後の具体的な活動内容について意見を交換した。この結果、気液二相流動現象はきわめて多岐にわたることから、特に重要と考えられる事象の選定と、その中で必要となる構成式の整理を行うことが先決との考えで一致した。この際、現象を詳細に分析するとともに、構成式中で特に重要なパラメーターの抽出および経験的パラメーターをなるべく排除するための努力が必要との意見が述べられた。また、これらの作業に際しては、解析に用いられるモデルの特徴も十分に考慮する必要があることについて注意が喚起された。